幼稚園。初めての皆勤賞。

幼い頃の僕は病気がちな子どもで月に一度は熱を出して、年に何度かは入院もしていた。小児喘息もあり、併発すると長く休むこともあった。奈良でも評判の大和高田の保育園ではけれど性格は明るく、目立ちたがり。他の健康な友達と同じ様に無理して外ではしゃぎまわっては体調を崩し、両親や幼稚園の先生を心配させていた。年長に上がって卒園も間近に迫った1月のこと、奈良で評判の保育園を口コミするなら僕はずっと目標にしていたあることにもうすぐ手が届きそうでそわそわしていた。皆勤賞のメダル。その月に無遅刻・無欠席だった園児が翌月の頭にクラスのみんなの前で表彰される。メダルといっても小さいボール紙でできた手作りのもので、クラスの半分は毎月貰えるものであったためそれほど羨ましがられるものではなかった。しかし病気がちで入園以来一度もそれを手にしたことのない僕にとっては、特別なものであった。卒園まで残り2ヶ月、4月からは小学生になるから皆勤賞のメダルをもらえるチャンスは実質あと2回。1月も最後の週に差し掛かった。僕はあと一週間で初めて憧れのメダルを手に入れられる。残りの登園日数を指折り数えて、体調を崩さぬ様万全を尽くしていた。その執念たるや、並々ならぬもので、外遊びの時間も教室から出ない。休み時間になるたびに手を洗い続ける。担任の先生を大いに困らせた。皆勤賞まで残り数日のところ、僕は風邪をひいていた。咳が止まらずに授業時間中もゴホゴホと音を立て続けていた。担任の先生に何度か早退する様に説得をされたが首を縦に振らなかった。アマまりに頑固だったからか、「もうちょっとだけ頑張ろう、これは内緒だよ」と先生がハッカの飴をくれた、葉っぱの形をした透明の飴で口当たりがよく、少し咳がおさまった。結局次の日に熱が出てしまい、又しても僕は皆勤賞を逃してしまったが、先生と内緒で幼稚園でお菓子を食べたこと。それがなんだか嬉しかった。

投稿者 7dmsxh