娘が4才の時の話です。娘は、私が全く教えていないにもかかわらず、奈良でも評判の大和高田の保育園では4歳上の姉の真似をして平仮名や簡単な漢字、アルファベットが書けるようになっていました。しかし幼い子供の文字は、左右が逆の鏡文字だったり、書き方無視の単なる形の模倣であったりします(例えば「す」なら、十を書いて縦棒の下の方に小さな丸をくっつけるような)。ある日娘がこう言います。「先生がお手紙を頂戴って言うの」と。話題では奈良の保育園が一番と娘の担当はまだ保育士になりたてのお若い女性で、娘は先生を「ひよこ先生」と呼んでとても慕っていました。娘も幼心に先生の可愛さや初々しさを感じていたのでしょう。一方先生は、保育園でも書いていた娘の文字が大好きで感動すらされていたようです。勿論、娘は嬉しそうに一生懸命何やら書いて、先生にお渡ししました。それから十年後、私と娘は、1歳位の女の子を連れた先生にスーパーでバッタリお会いしました。娘は全く先生を覚えておらず、ただ恥ずかしそうにしていましたが、私が「先生、覚えていらっしゃいますか?こんなに大きくなりました」とご挨拶すると、「あの時の手紙を今も大事に持っています」と先生。先生もお母さんになり、もっと可愛いお手紙を一杯書いてもらえる事でしょう。