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似て非なる専門職、児童指導員と保育士の決定的な違いとは
子どもたちの成長を支える専門職として、しばしば混同されがちな「児童指導員」と「保育士」。特に、児童養護施設などの社会的養護の現場では、両者が協力し合って働く姿が多く見られます。しかし、その名称が似ているからといって、これら二つの職種を同じものだと考えるのは早計です。その根底には、資格の成り立ち、法律上の位置づけ、そして期待される役割において、明確な違いが存在します。この違いを正しく理解することは、子どもに関わる仕事を目指す上で、自らのキャリアパスを考えるための、重要な第一歩となります。最も大きな違いは、「資格の種類とその取得方法」にあります。「保育士」が、名称独占の国家資格であり、保育士養成校を卒業するか、年に一度の国家試験に合格しなければ得られない、専門性の高い資格であるのに対し、「児童指導員」は、特定の試験が存在するわけではない「任用資格」です。任用資格とは、その職に任命されるために必要とされる資格要件のことであり、児童指導員の場合は、その要件を満たすための複数のルートが用意されています。具体的には、大学の学部で心理学、教育学、社会学、社会福祉学のいずれかを専攻し卒業した場合や、小・中・高等学校の教員免許状を保有している場合、あるいは、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っている場合などに、児童指導員として働く資格が認められます。また、高卒以上であっても、児童福祉施設での実務経験を2年以上積むことで、任用資格を得る道も開かれています。次に、それぞれの専門職が主として活躍する「場所」と、そこで期待される「役割」にも違いが見られます。保育士の主戦場が、0歳から就学前までの乳幼児を対象とする「保育所(保育園)」であることは、広く知られています。そこでの役割は、子どもの生命を守り、情緒の安定を図る「養護」と、心身の発達を促す「教育」が一体となった、総合的な「保育」を実践することです。一方、児童指導員の主たる活躍の場は、児童養護施設や障害児入所施設、児童発達支援センター、放課後等デイサービスといった、より専門的な支援や配慮を必要とする子どもたちが生活したり、利用したりする「児童福祉施設」です。そこでの役割は、日常生活における「生活指導」や、学校の勉強をサポートする「学習指導」、そして、施設を退所した後の社会的な「自立支援」といった、「指導」の側面がより強調されます。もちろん、児童養護施設などでは、保育士も児童指導員も、子どもたちの生活全般を支える「親代わり」としての役割を担うため、その業務内容が大きく重なり合うことも事実です。しかし、保育士が乳幼児期の愛着形成や発達支援のプロフェッショナルであるとすれば、児童指導員は、学齢期以降の子どもたちの社会的自立に向けた、より具体的な指導のプロフェッショナルである、と捉えることができるでしょう。保育士と児童指導員。両者は、子どもを支えるという共通の使命を持ちながらも、異なる専門的背景を持つ、似て非なる二つの専門職なのです。
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いのち育む日々の営み、保育のお仕事の具体的な姿
「保育のお仕事」と聞くと、多くの人は子どもたちの明るい笑顔と、歌や手遊びに満ちた楽しい時間を思い浮かべるだろう。その光景は、この仕事の持つ素晴らしい一面に違いない。しかし、その輝きの裏側には、子どもたちの生命と健やかな発達を支えるための、極めて実践的で、緻密に組み立てられた日々の営みが存在する。保育士の一日は、子どもたちの生活そのものを丁寧になぞりながら、専門的な視点をもって展開されていく。一日の始まりは、求人ボックスに大和高田特集子どもたちが登園してくる前の静寂の中からスタートする。保育室の窓を開けて空気を入れ替え、隅々まで清掃を行い、子どもたちが安全に過ごせるよう、遊具や備品に危険がないかを一つひとつ点検する。この清潔で安全な「環境」を整えることこそが、質の高い保育を提供する上での大前提となる。やがて、子どもたちが保護者と共に登園してくると、保育室は一気に生命感に満ち溢れる。保育士は、一人ひとりを温かい笑顔で迎え入れながら、その表情、顔色、声のトーンから健康状態を瞬時に把握する「視診」を行う。保護者からの連絡事項に真摯に耳を傾け、家庭での様子を共有してもらうこの時間は、その日一日の保育の方向性を決めるための、重要な情報収集の場である。午前中は、その日のねらいに沿った主活動が展開される。天気の良い日には戸外へ出て、陽の光を浴び、風の匂いを感じながら、思いきり体を動かす。散歩の道すがら、草花の名前を教え、交通ルールを伝える。製作活動では、粘土をこね、絵の具を使いながら、指先の巧緻性や創造力を育む。これら全ての活動は、単なる「遊び」ではない。子どもの発達段階を深く理解した上で、その成長を促すための明確な意図をもって計画された「教育活動」なのである。昼食の時間は、子どもたちの体に栄養を届けるだけでなく、心を育む「食育」の実践の場となる。食材への感謝の気持ちを伝え、友達と一緒に食べる楽しさを分かち合う。アレルギーを持つ子どもへの細心の注意を払いながら、一人ひとりの発達に応じた食事介助を行う。午睡の時間は、子どもたちの命を守るという、最も重い責任を担う時間だ。穏やかな眠りを誘う環境を整えることはもちろん、睡眠中も数分おきに呼吸や体位のチェックを繰り返し、その記録を残す。この地道な確認作業が、SIDS(乳幼児突然死症候群)などのリスクから、かけがえのない命を守る砦となる。やがて、子どもたちが保護者のもとへ帰っていく降園の時間。保育士は、その日の活動での子どもの輝いた瞬間や、成長の証を、具体的な言葉で保護者に伝える。この日々の積み重ねが、家庭との信頼関係を築き、子どもの育ちを共に見守るパートナーシップを育む。そして、最後の一人を見送り、静けさを取り戻した保育室で、保育日誌や連絡帳の記入、指導計画の作成といった、膨大な事務作業が待っている。この見えない時間の努力こそが、次の日の子どもたちの笑顔を創造しているのだ。保育のお仕事とは、このように、生命の営みそのものに寄り添い、それを専門性をもって支え続ける、尊い日々の実践なのである。
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更新制廃止後の新常識、保育士に本当に求められる学びのカタチ
保育士資格に更新は不要であり、混乱の原因であった教員免許更新制も廃止された。では、これからの保育士は、一度資格を取ってしまえば、もう何も学ぶ必要はないのだろうか。答えは、もちろん否である。形式的な「更新」という義務がなくなった今、むしろ、専門職としての価値を維持・向上させるための、より本質的で、主体的な「学び」の重要性が、かつてなく高まっている。これからの時代に求められるのは、やらされ仕事の講習ではなく、自らの課題意識に基づいた、実践的な自己研鑽なのである。幼稚園教諭の世界では、更新制の廃止に伴い、個々の教員が必要な資質を、必要なタイミングで高めていくための「新たな研修制度」が整備されている。大和高田市の園児を支えようこれからの保育士の世界で、その役割を担うのが、既に制度として定着している「キャリアアップ研修」である。この研修は、保育士の資格の有効性を左右するものではない。しかし、現代の保育士が、専門家としてキャリアを築き、そして、その専門性に見合った処遇(給料)を得るためには、避けては通れない、極めて重要な制度となっている。キャリアアップ研修は、国が定めたもので、①乳児保育、②幼児教育、③障がい児保育、④食育・アレルギー対応、⑤保健衛生・安全対策、⑥保護者支援・子育て支援、⑦マネジメント、⑧保育実践、という八つの専門分野に分かれている。保育士は、自らの興味関心や、園で担う役割に応じて、これらの研修を受講し、専門性を高めていく。そして、この研修の修了は、国の「処遇改善等加算」という、保育士の給料を上げるための補助金制度と、密接に連動している。研修を修了し、園内で「職務分野別リーダー」や「専門リーダー」「副主任保育士」といった役職に就くことで、月額5千円から最大4万円の手当が給与に上乗せされる仕組みだ。つまり、キャリアアップ研修は、自らの専門性を高めるだけでなく、それが直接的な収入アップに繋がるという、明確なキャリアパスを提示しているのである。資格の更新という義務はなくなった。しかし、その代わりに、「専門性を高め、より質の高い保育を提供し、それに見合った評価を得る」という、プロフェッショナルとして当然の責務が、より明確になったと言えるだろう。また、こうした公的な研修制度だけでなく、日々の自主的な学びの姿勢も、これまで以上に重要となる。子どもの発達に関する研究は日々進歩し、社会が子育て家庭に求める支援の形も変化し続けている。最新の保育関連の書籍を読んだり、地域の保育士会が主催する勉強会に参加したり、あるいは、同僚の優れた実践に謙虚に学び、自らの保育を常に振り返る。こうした日々の地道な努力こそが、保育士としての人間的な幅を広げ、引き出しを増やし、子どもや保護者からの信頼を勝ち得るための、王道なのである。更新という「点」の義務から、学び続けるという「線」の責務へ。これからの保育士に求められるのは、生涯にわたって自らを磨き続ける、学習者としての姿なのだ。