病気や怪我と闘う子どもたちの心に、遊びや関わりを通して寄り添う専門職「病棟保育士」。医療保育の一分野として、その社会的意義の大きさから近年注目度が高まっているこの仕事について、多くの人が抱くのが「給料はどのくらいなのだろうか」という現実的な疑問である。一般的な保育園で働く保育士と比較して、その給与水準はどうなのか。本稿では、病棟保育士の給料の実態を、平均額やそれを決定づける構造的な要因から、徹底的に解剖していく。まず、最新のデータを基にした病棟保育士の平均年収は、おおよそ400万円から450万円の範囲にあると推定される。これは、一般的な奈良の保育園で働く保育士の全国平均年収が約397万円であることと比較すると、やや高い水準にあると言える。一方で、同じ病院内で働く看護師の平均年収が約490万円以上であることを考えると、それよりは低い水準となる。この「保育士よりは高く、看護師よりは低い」という位置づけが、病棟保育士の給与を理解する上での、一つの大きな指標となる。では、なぜこのような給与水準になるのだろうか。その最大の要因は、病棟保育士の給与体系が、保育園ではなく、勤務先である「病院」の給与規定に基づいて決定される点にある。特に、国立病院や大学病院、県立こども病院といった「公的機関」に正規職員として採用された場合、その身分は地方公務員や準公務員となる。これにより、勤続年数に応じて着実に昇給していく安定した給与体系と、手厚い福利厚生が保障される。これが、病棟保育士の平均給与を、私立保育園の平均よりも押し上げる、最も大きな要因となっている。一方で、民間病院に勤務する場合は、その病院の経営規模や方針によって、給与は大きく変動する。もう一つ、知っておくべき重要な点が、保育士全体の待遇改善を目的とした国の補助金「処遇改善等加算」との関係性だ。この制度は、主に「認可保育施設」を対象としており、病院は原則としてその対象外となる。つまり、多くの病棟保育士は、この国の補助金による給与の上乗せを受けることができない。その代わり、病院独自の給与水準が、一般的な保育園よりも高く設定されていることで、結果的に平均給与が高くなっている、という構造なのである。また、同じ病院で働く看護師との給与差が生まれる理由は、主に「各種手当」の有無にある。看護師には、夜勤手当や危険手当といった、医療行為に伴う特殊な手当が支給されるが、基本的に日勤である病棟保育士には、これらの手当がつかない。これが、両者の年収に差を生む大きな理由だ。結論として、病棟保育士の給料は、一般的な保育士と比較すれば、恵まれている傾向にある。しかし、それは国の補助金によるものではなく、勤務先である病院、特に公的な大病院の安定した給与体系に支えられている。この職業を選ぶ際には、平均額だけを見るのではなく、どの病院で働くかという「勤務先の選択」が、自らの生涯賃金を左右する、最も重要な要素となることを、深く理解しておく必要があるだろう。
病棟保育士の給料は高い?その平均額と給与構造の全貌