保育士資格に更新は不要であり、混乱の原因であった教員免許更新制も廃止された。では、これからの保育士は、一度資格を取ってしまえば、もう何も学ぶ必要はないのだろうか。答えは、もちろん否である。形式的な「更新」という義務がなくなった今、むしろ、専門職としての価値を維持・向上させるための、より本質的で、主体的な「学び」の重要性が、かつてなく高まっている。これからの時代に求められるのは、やらされ仕事の講習ではなく、自らの課題意識に基づいた、実践的な自己研鑽なのである。幼稚園教諭の世界では、更新制の廃止に伴い、個々の教員が必要な資質を、必要なタイミングで高めていくための「新たな研修制度」が整備されている。大和高田市の園児を支えようこれからの保育士の世界で、その役割を担うのが、既に制度として定着している「キャリアアップ研修」である。この研修は、保育士の資格の有効性を左右するものではない。しかし、現代の保育士が、専門家としてキャリアを築き、そして、その専門性に見合った処遇(給料)を得るためには、避けては通れない、極めて重要な制度となっている。キャリアアップ研修は、国が定めたもので、①乳児保育、②幼児教育、③障がい児保育、④食育・アレルギー対応、⑤保健衛生・安全対策、⑥保護者支援・子育て支援、⑦マネジメント、⑧保育実践、という八つの専門分野に分かれている。保育士は、自らの興味関心や、園で担う役割に応じて、これらの研修を受講し、専門性を高めていく。そして、この研修の修了は、国の「処遇改善等加算」という、保育士の給料を上げるための補助金制度と、密接に連動している。研修を修了し、園内で「職務分野別リーダー」や「専門リーダー」「副主任保育士」といった役職に就くことで、月額5千円から最大4万円の手当が給与に上乗せされる仕組みだ。つまり、キャリアアップ研修は、自らの専門性を高めるだけでなく、それが直接的な収入アップに繋がるという、明確なキャリアパスを提示しているのである。資格の更新という義務はなくなった。しかし、その代わりに、「専門性を高め、より質の高い保育を提供し、それに見合った評価を得る」という、プロフェッショナルとして当然の責務が、より明確になったと言えるだろう。また、こうした公的な研修制度だけでなく、日々の自主的な学びの姿勢も、これまで以上に重要となる。子どもの発達に関する研究は日々進歩し、社会が子育て家庭に求める支援の形も変化し続けている。最新の保育関連の書籍を読んだり、地域の保育士会が主催する勉強会に参加したり、あるいは、同僚の優れた実践に謙虚に学び、自らの保育を常に振り返る。こうした日々の地道な努力こそが、保育士としての人間的な幅を広げ、引き出しを増やし、子どもや保護者からの信頼を勝ち得るための、王道なのである。更新という「点」の義務から、学び続けるという「線」の責務へ。これからの保育士に求められるのは、生涯にわたって自らを磨き続ける、学習者としての姿なのだ。
更新制廃止後の新常識、保育士に本当に求められる学びのカタチ