国によって、保育士のキャリアアップのための、新しい道筋が示された。しかし、その道を、ただ待っているだけで、自動的にキャリアアップが実現するわけではない。制度というレールの上を、自らの意志と計画を持って走り、時には、自分だけの新しい線路を敷設していく。そうした主体的な姿勢こそが、理想の奈良の保育士キャリアを実現するための、最も重要な推進力となる。本稿では、保育士が、自らの手で未来を切り拓くための、具体的な実践戦略を提示する。第一の戦略は、「自己分析に基づいた、計画的なスキルアップ」である。まずは、自分自身の「現在地」を知ることから始めよう。これまでの保育経験を振り返り、自分は何にやりがいを感じ、何を得意としているのか。逆に、どのような場面で困難を感じ、どのような知識や技術が不足しているのか。この自己分析を通じて、進むべき方向性を見定める。例えば、障がいのある子どもとの関わりに、深い喜びを感じるのであれば、「障がい児保育」のキャリアアップ研修を受講し、その分野の専門家を目指す。若手の指導にやりがいを感じるのであれば、リーダーシップやマネジメントの研修を受け、「副主任保育士」や「主任保育士」を目指す。このように、自分の「好き」や「得意」を、キャリアアップ研修という公的な制度と結びつけることで、学びのモチベーションは格段に高まり、その効果も最大化される。第二の戦略は、「専門資格の取得による、付加価値の創造」である。保育士資格という土台の上に、さらに専門的な資格を上乗せすることで、あなたの市場価値は飛躍的に高まる。例えば、幼稚園教諭免許状を取得し、「保育教諭」となれば、活躍の場は、認定こども園へと大きく広がる。また、日本医療保育学会が認定する「医療保育専門士」の資格を取得すれば、病院という特殊な環境で、病気の子どもを支える、高度な専門職への道が開かれる。その他にも、リトミック指導員、食育アドバイザー、あるいは、民間のチャイルドマインダー資格など、自らの興味関心に応じて、専門性をアピールする武器を増やすことは、転職や、後述する独立の際に、大きな力となるだろう。第三の戦略は、「マネジメントへの挑戦」である。保育の実践者としてだけでなく、組織を動かし、より良い保育環境を創り出す側に回る、というキャリアパスだ。これまでの経験を活かし、チームリーダーとして、他の保育士の育成や、園全体の保育の質の向上に貢献する「主任保育士」。そして、最終的には、園の経営全体に責任を持ち、地域の子育て支援の拠点として、その理念を実現する「園長」。これらの管理職を目指すには、保育のスキルだけでなく、リーダーシップ、人材育成能力、そして、時には経営的な視点も求められる。それは、大きな責任を伴うが、自らの理想とする保育を、より大きなスケールで実現できる、非常にやりがいのある道である。キャリアアップとは、誰かに与えられるものではない。自らの意志で、学び、挑戦し、そして、自らの価値を証明していく、創造的なプロセスなのである。
未来は自分で創る、保育士のキャリアアップ実現のための実践ガイド